三菱の RF MOSFET シリーズの RD16HHF1 をプッシュプル構成で使って、10W クラスのリニアアンプを作成してみました。
リニアアンプや高周波回路には詳しくないのですが、この RD16HHF1 はアマチュア無線機メーカーの HF/50MHz オールモード機のドライバー段によく利用されていますので、その構成を流用してみました。メーカー製品では、RD06HHF1 → RD16HHF1 PP → RD100HHF1 PP という3段構成で 100W を得ているようです。
上記が参考にした、とある無線機のドライバー段の増幅回路です。プッシュプル構成で、入出力は高周波トランスでのインピーダンス整合、バイアス回路、電源、NFB とシンプルな構成です。
今回のアンプの作成にあたって高周波トランスは、入力はメガネコア、出力はスリーブコアに 0.3mm 厚のリン青銅板をカットして筒状にして通したトランスを作成しました。出力が 10W 程度ですので、出力側もメガネコアで十分かと思いますが、実験も兼ねての製作です。メガネコア・スリーブコアともに#43材相当のものを利用しています。
というわけで、出来上がった実験基板がこちらです。
手元にある無線機 (FT-991) の最小出力が 5W のため、入力に 9dB の ATT を追加しています。また、高周波トランスによるインピーダンス整合は、入力側で 1:1 、出力側で 1:2 としてみました。
RD16HHF1 は 3mm 厚 100mm x 200mm の銅板をヒートスプレッダとして、ねじ止めしています。
RD16HHF1 のデータシートに記載されている Vgs-Ids 特性から、バイアスには 4V 以上が必要なことがわかります。参考にした無線機の回路図から、バイアス周りの定数 (R5041, R5046 等) は変更し、5V の3端子レギューレーター TA7805 から、Vgs ≒ 4.3V 程度のバイアスをかけています。この状態で、アイドリング電流はプッシュプルで 700mA ほど流れていました (Vds = 13.8V)。
最後に各バンドでの出力を記録しておきます。条件は、無線機 (5W) → 9dB ATT → RD16HHF1 PP Amp. → 電力計 → ダミーロード、です。
Band (MHz) | 1.8 | 3.5 | 7 | 10 | 14 | 18 | 21 | 24 | 28 | 50 |
Pout (W) | 12 | 14 | 15 | 15 | 14 | 13 | 13 | 14 | 14 | 14 |
LPF のない状態での計測、かつ手元に測定器等がないため、上記構成の妥当性は未検証ということは、ご承知おきください。
以上、RD16HHF1 をプッシュプルで利用したリニアアンプの実験でした。
de JE6HIB
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